天声手帳

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夜汽車

♬いつもいつも通る夜汽車、しずかな響き聞けば遠い国を思いだす♪小学校3年くらいで習った文部省唱歌だろうか。単純な歌なので、当時は何の感慨もなかったが、最近思い出すとこんな懐かしい歌はない。もう夜汽車という言葉も使わなくなった。蒸気機関車SLは写真愛好家のためにたまに走らせているけれど、夜走ることはないので、夜汽車ではない。

 

先日お墓参りの帰りに秩父羊山公園に行ったとき、丘の上から汽笛が聞こえたので、なつかしくてみんなが、駅の方向にSLを探した。少ししたら煙が見えてきたので、走っているのが確認できた。三橋美智也の「りんご村から」の2番の歌詞に♬上りの夜汽車のにじんだ汽笛♪とある。夜汽車の言葉はわれわれ団塊世代には、子供の頃の思い出と切りはせない懐かしい響きである。

 

ちあきなおみ「喝采」にも♬あれは3年前、止めるあなた駅に残し、動き始めた汽車に一人飛び乗った♪とある。1970年にレコード大賞をとっているので、3年前の1967年までは確実に走っていたらしい。夜汽車もそのくらいまでは使われていただろう。

 

昔の歌には当時の日本のなつかしい言葉がたくさん使われている。お月様いくつ十三、七つとは十三夜の七つどきに出る月でまだ若いという意味だが、これを二十歳の娘の年を言うときに使ったという話も聞いたことがある。93歳の田舎の義母に聞いたら知っていたので、私の方がびっくりした。

 

今は使われなくなっても、情緒のある日本的な雰囲気をもった日本語はできれば残していきたいと思うのでわたしはわざとときどき使うことがある。若い人がそれ何ときいてくるので、うんちくを話してあげる。


それをきっかけに昔の本を読んだり、昔の歌を思い出したりしてさらに知識を深め、次の世代まで言葉として残していけたらいいなと思う。