天声手帳

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バイオミメティクス(生物模倣)を学ぶ

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BS11chの報道ライブで「日本人はどこからきたか」の特集があった。

評論家の寺島実郎さんと国立科学博物館・館長の林良博さんの対談形式で、3万年前の祖先が台湾からどうやって琉球列島にたどりついたか、を再現してみるプロジェクトの紹介があった。琉球の島々には3万年前の遺跡が残っていて人がいた痕跡がある。その人たちが日本にもやって来たルートがグレートジャーニーの一つというわけである。

 

話の途中で、林さんが取り組んでいるバイオミメティクスの企画展を国立科学博物館で開催中の話があり、私の関心はそちらに移った。というのはふくろうは飛ぶときに音を立てないという記事を最近読んだからである。


調べてみたらふくろうの能力はすごい。

イギリスの動物行動学者デズモンド・モリスの「フクロウ その歴史・文化・生態(訳 伊達淳)」をみるとフクロウの視覚感度は人間の35倍、聴力は10倍、左右非対称の耳は音の時間差を3000万分の一秒まで聞き分けられる、首の頸椎は人間の2倍の14個で左右に270度、上下に90度の可動域があるなどである。この能力を使って、夜でもすばやく獲物を捕らえることができるという。

 

すでに動物の生態を科学に応用した例として、オナモミ(植物)→マジックテープ、カタツムリの殻→汚れないタイル、フクロウの羽、カワセミの嘴→新幹線の騒音減、ハスの葉→布の撥水加工、蚊の針→痛くない注射針、キリギリスの足裏→トヨタのエンジンなどたくさんあるようだ。

matome.naver.jp

 

考えてみれば今いる地球上の生物は、何万年、何十万年もの生存競争を勝ち抜いてきたものだけが生き残っているのである。それぞれの生物の工夫にやっと今人間が気付いたというのが本当だろう。そういう目で植物や昆虫、動物たちをみたとき、また別の角度から生き物の尊さを学べる気がする。

 

国立博物館の企画展「生き物に学び、くらしに生かす」は6月12日までやっているので、ぜひ見学に行きたいと思った。

www.kahaku.go.jp