天声手帳

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伊勢志摩サミットでわかったこと

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巷のニュースは伊勢志摩サミット一色である。安倍首相の宣言を聞いても、きれいごとを並べた感じで何がどうなったか、成果はなんだったのか、いまいちよくわからない。オバマ米大統領の広島訪問の方がビッグイベントの扱いで、米国では謝罪するかしないかが議論になったが、日本では謝罪がなくても訪問そのものに意義があるというとらえ方で、こちらはわかりやすい。

 

サミットは以前は経済問題を扱うのがメインだったということで、安倍首相は最初世界の景気浮揚策として大幅な財政出動を各国に要求しようとした。過去に緊急景気対策で各国が一斉に大幅な財政出動を行い景気を浮揚させた歴史があるからである。しかし今回はドイツとイギリスが反対して、財政戦略は機動的に行うとの表現にとどまった。一時的なバラマキ政策は一時的な景気対策にしかならず、根本的には構造改革が必要というわけである。

www.yomiuri.co.jp

 

今回のサミットではおまけもついている。一つは豪華な晩餐会がなくなり、ワーキングディナーと名前を変えて以前より質素になったこと。質素といっても庶民からみたら十分豪華にみえるが以前よりということだろう。震災で困っている人や難民政策を議論しているのに自分たちだけが豪華な食事をするわけには行かないという考えが浸透してきた結果だという。当たり前のことが少しづつできるようになったということか。

news.livedoor.com

 

伊勢神宮訪問が各国に好意的な評価をもらっている。神聖で厳かな場所というのが、外国の方々にも感じられたのだろうか。宗教が違うと本来の意味はわからないが、雰囲気だけは理解できるらしい。日本人がバチカン市国を訪れるのと同じと言っていた人もいる。

headlines.yahoo.co.jp

 

安倍首相が強調した現在の情勢がリーマンショックの前に似ているというのは採用されなかった。あの時は不良債権問題が誰の目にも明らかだったが、今は原油安や通貨不安から来ているので状況が違うというわけである。安倍首相の主張はとんだ見当はずれになってしまった。

 

それにしてもG7はロシアと中国が参加していないので、いまいち迫力に欠けるのは否めない。中国は南シナ海問題でしきりに牽制球を投げている。沈黙のロシアは不気味である。途中の議論では北朝鮮のみをターゲットにしていた。

 

サミットはすこしづつ進歩しているようだ。以前中曽根首相がレーガン大統領とサッチャー首相の間に割り込んで写真を撮らせたように、日本は参加して目立つことだけで喜んでいる時代ではない。今回オバマ大統領は引退真近ということで、積極的な発言がなかったが、日本の首相が今の世界を見つめる視点で他の国の首脳よりすぐれた意見を出せる日はくるのだろうか。