天声手帳

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消費増税の延期でもアベノミクス実現は無理

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17年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げは、安倍首相が内需を腰折れさせかねないとして東京オリンピック前の19年10月に延期された。首相は公約違反を認め、参院選の改選議席過半数獲得で信を問うとした。

headlines.yahoo.co.jp

 

これを受けニュースは一斉に財政健全化目標達成と社会保障費を賄う財源確保への不安を訴えた。財政健全化とは20年度のプライマリーバランス黒字化を言う。プライマリーバランスとは借入金を除く歳入と歳出のバランスがとれていることで、借金に頼らない行政サービスができていることを示す指標である。

これに対し経済開発機構OECDは早速日本の前例なき高水準の公的債務は世界経済の
主要リスクの一つであるとかみついている。予定通り消費税を上げても難しいのに、上げないでやれるはずはないとの警告である。

headlines.yahoo.co.jp

安倍首相は社会保障費については少子高齢化対策と介護職員の処遇改善のみ実施するとした。財源として常識化している赤字国債発行は批判が多いので実施しないとしたが、交付金地域振興券子育て支援金、高齢者補助金などを連発し、選挙対策にすることは目に見えている。これはヘリコプターマネーと言われるバラマキ政策で、国民は知らない間に預金の価値が目減りする政策である。

jp.reuters.com

選挙対策で歳出規模を膨らますと、翌年の歳出が大きく落ち込み、財政の崖ができてしまう。これも財政健全化を一層遠のかせる施策だ。選挙対策はろくなことがないのである。

安倍首相はアベノミクスの果実というが、円安株高はアメリカの金利引き上げによるところが大きくアベノミクスのせいではない。黒田日銀総裁が2%の物価上昇目標を掲げているが、もう何度も先送りし今は18年度1.9%になっている。もう小手先の政策で景気が回復するほど国民は甘くないのである。

www.tokyo-np.co.jp

実は消費増税の実施も当面の税収増に寄与するだけなので、17年でも19年でも大して変わらない。もっと根本的な政策はないのか。

 

経済成長率の向上に寄与するのは構造改革規制緩和である。アベノミクスは3本の矢でこれを説明しているが、第三の矢である民間投資を呼び起こす成長戦略ができていない。TPPの実行、ビッグデータの活用、ベンチャー企業の育成など構造改革規制緩和にはいたみを伴うものが多い。格差社会がますます拡大する可能性もある。

 

shukatsu-mirai.com

 

forbesjapan.com


しかし世界はトランプ氏の登場などで、海外から大きく日本経済の方向を変えられてしまう危機も伴っている。リスクがあっても、日本経済の行先は日本人が進むべき道を自分で決めていきたいものである。