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天声手帳

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佐藤天彦新名人の誕生

社会

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山形県天童市で行われた将棋名人戦七番勝負の第5局で佐藤天彦八段が羽生善治名人に勝ち、4勝1敗で名人位を獲得した。将棋界待望の28歳の若手名人誕生の瞬間だった。敗れた羽生さんは王位、王座、棋聖の3冠に後退した。

 

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将棋の名人戦は2002年度に森内俊之九段が当時の丸山名人を破ってから13年間羽生・森内時代が続いていた。他の棋士は挑戦者になっても二人の厚い壁に跳ね返されていた。2011年から4年間は挑戦者もどちらかで名人戦イコール羽生・森内戦だった。二人は幼いころからのライバルで棋風も違うので、それなりに見応えがある戦いが続いたが、最近は森内九段の調子が出ず、挑戦者になれないのでどうしたのかなと思っていた。

 

佐藤八段はA級への昇級1年目で挑戦者になり、そのまま名人位を獲得した。自身初のタイトル獲得である。今回の名人戦は羽生さんが詰みを見落としたり、読みに抜けがあったりといつもの羽生さんの力が出ていなかった。まだ45歳で敗れたとはいえまだまだ第一人者であることには変わりはない。今回集中力を欠いたのはちょっと疲れていたのだろうか。

 

決定局となった第5局は封じ手の段階がクライマックスだった。解説の村山7段が九分九厘間違いないと予想した手は見事に外れた。佐藤八段は飛車角の大ゴマ同士が直接ぶつかる手を選び、名人の強気な作戦を上回る強気の態度で応戦した。村山7段の予想はプロ棋士の常識的な手で、安全に優勢に導ける手であり決して間違ってはいない。しかし佐藤八段はあえて別の手を指し、わけのわからない戦いへ名人を誘い込んだ。朝日新聞は佐藤八段妥協せずに応戦、羽生名人顔をしかめると書いている。

 

羽生名人は5月15日のNHKスペシャルで囲碁のイセドル九段を破った人工知能を開発したイギリスの天才研究者と対談している。また将棋のAIは未知数として勝てばコンピュータと対戦する電王戦に出場できる棋戦にエントリーした。明らかにAIとの戦いを視野に作戦を練っているに違いない。

ある人が羽生さんにもしAIに負けたらどうしますかと聞いた。羽生名人の答えはルールを変えて桂馬を横に飛ばすことにすれば、またしばらくは人間が勝つと言ったそうだ。

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今回の羽生さんの敗戦がAIとの戦いを考えすぎ?とは思わないが、負けてもたんたんとしていつもと変わらない羽生さんを見ていると、目の前の名人戦よりもっと先の将棋界のことを考えているのではという気がした。
羽生さんの頭脳が将棋界のみに使われているのはもったいない。もう人間とAIの将来を見据えていて、人間がとるべき行動をわれわれに教えてくれる日がくるかもしれない。