天声手帳

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古墳ミステリーの謎を解く

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井上あさひアナの歴史秘話ヒストリア・古墳のミステリーを見た。前方後円墳の形の謎から始まって、本物の舟が古墳から発見されたことによる謎の解析は、最近の研究の一端かもしれないが、なかなか面白かった。

 

前方後円墳の形はそのまま壺を表していて、壺の上で仙人達が儀式を行っていることから壺の中に不老長寿のユートピアがあると信じられていて、死者(亡くなった王)がユートピアの世界に行くことを願ったものだという。まだ仏教が伝わっていない時代は神仙思想の不老長寿がテーマなのでありうる話だと思う。蘇我氏の時代に仏教が伝わって寺院に変わったという。でも天智天皇天武天皇も古墳だったと思うが。

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日本最初の巨大前方後円墳は3世紀半ばの箸墓古墳で、卑弥呼の亡くなった時期に符合していることから最近は箸墓・卑弥呼説が強い。前方後円墳は構築に多くの人を動かす必要があるので、この時期に強大な国が築かれたとみて間違いないだろう。卑弥呼は巫女で纏向遺跡から大量の桃の種が見つかっているので、神仙思想につながる。仁徳天皇の大仙古墳より、箸墓をもっと追及してほしかった。

 

エピソード2では群馬県の古墳から大量の埴輪が、作られた当時の形で出土したことを伝えている。埴輪群は生前の王の行動を示していて、死後の世界でも同じように王でいられるようにとの願いを込めたという。作られてすぐ火山で埋まったため保存されたものらしい。古事記垂仁天皇の項に人型埴輪は殉死を戒めた野見宿祢の話が載っている。最初の埴輪は殉死の人の代わりで、その後も死者の旅立ちのお供と考えられる。王の生涯のジオラマを描く埴輪はめずらしいが、ない話ではない。

 

エピソード3では奈良の古墳から原寸大の舟が発見されたことを伝える。海のない古墳になぜ舟があるかといえば、死者を船に乗せて不老長寿の国(東方の海にある)へ旅立たせるためという。先日の埼玉文学館の講演では奈良出身の豪族が故郷へ帰るためと説明していた。どちらにしても棺を舟に乗せて運ぶことに変わりはない。古代人の想像は現代の我々よりずっと豊かで、死者への思い入れも並大抵でなかったことがよくわかる。

 

NHKは古墳の中まで再現し、赤色の様々な模様に色どられた古墳の模型のなかで、井上アナが寝ごごちを試していた。赤は魔除けであり、剣や盾も死者を守る意味で置かれている。中国の兵馬俑と同じ意味である。

天皇の古墳は宮内庁のお達しで中をみることができない。そろそろ純粋に歴史科学的な見地から箸墓や大仙古墳の中をみせてほしいと切に願っている。