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日銀の追加緩和の効果

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7月29日(金)に日銀は、金融政策決定会合で追加の金融緩和を決定した。マイナス金利は据え置き、上場投資信託ETFの買い入れを3.3兆円から6兆円に倍増させるという。これを受けて株価は一時300円値下がり、円高も102円台まで進んだ。この金融緩和は期待はずれだったのか。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

日銀は一方で金融市場を調節するマネタリーベースを80兆円で現状維持するとしている。マネタリーベースとは「日本銀行券発行高」「通貨流通高」「日銀当座預金」の合計額である。全体を変えないでETFを増やすなら、その分国債の買い入れを減らすことになる。ETFの買い付けを見越して株価は上昇と思ったら、追加緩和が予想より小規模で効果がないとみて一時下がったが、最終的には92円高で落ち着いた。

toyokeizai.net

 

実はもう一つの緩和策として「企業の海外展開を支援するため、最長4年の米ドル資金を金融機関経由する制度」の総枠が現行の120億ドルから240億ドルへと倍増された。この措置で国内企業はドル調達コストが低下するが、海外投資家からみれば円の調達コストが上昇する。これは海外投資家による国債日本株への投資意欲は、衰える可能性があり、株安円高につながる施策である。ETFの買入れ倍増と逆行するので、株式市場が混乱するはずである。

 

そもそも「英国のEU離脱問題や、新興国経済の減速を背景に、海外経済の不透明感が高まり、国際金融市場では不安定な動きが続いている」との認識は日本だけで、FRBは「短期的な経済見通しへのリスクは低下した」と言っている。事実、英国のEU離脱ショック後の世界の金融市場は、米国株式市場が史上最高値を更新、新興国株価指数も5%近い上昇をしている。日本だけ回復が遅れているのは、日銀も安倍首相も一番やきもきしているところである。

news.infoseek.co.jp

 

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最後に今回の金融政策決定会合で、黒田東彦日銀総裁はマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の「総括的な検証」を執行部に指示した。今回変更しなかった「来年度中に物価安定目標2%達成」と合わせて、これが様々な憶測を呼んでいる。ヘリマネの検討や財政政策も含めて、次回9月の金融政策決定会合が待たれる。