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天声手帳

話題のニュースや身近な事件で感じた事です

ふつうがいい

面白いニュースがあった。


タレントの坂下千里子が、NHK「あさイチ」のゲストの朝食を紹介するコーナーで他のカリスマ主婦に「なんなのそれ」と毒づいた。カリスマ主婦の二人はおしゃれで手の込んだ朝食をつくったが坂下はトースト、イチゴ、牛乳の超シンプル朝食で調理時間2分ですと開き直ったそうである。


NHKとすれば視聴者〈この場合は主婦〉に手抜きでなく、ちゃんとやればこんなにおいしい朝食ができるといいたかったのだろう。坂下千里子はバカにされるお笑いの役だったかもしれない。NHKは、これをみた主婦は私もカリスマ主婦の二人を参考にしてがんばらなくちゃと考えてくれ、それによっていい番組を見たと思ってくれるとの期待があったはずだ。


でも実際はちがった。この番組を見たネット主婦は坂下の方を絶賛した。「千里子サイコー、あなたは正しい」「千里ちゃんがふつうだと思う」ネットからは絶賛コメントが殺到し、ぐうたら主婦、坂下の株を上げてしまった。

 

TVは放送という通り、送りっぱなしで送り手の意志を一方的に伝える片方向ツールだったが、今やネットが送り手の意志を判断し反応する時代になっている。NHKは紅白歌合戦の投票やケーター大喜利で双方向と思っているがそれは送り手の勝手な判断である。受け手の反応をNHKというフィルターを通してしか視聴者に伝えていない。
TVの向こうにいるのは一般庶民である。庶民は等身大の情報をほしがっている。

タレントが高級レストランを食べ歩き高級食材の特別メニューを食べているところを紹介するよりも、「孤独のグルメ」のようにごく普通のお店に入って、他の客が食べているおいしそうなものを自分も注文して食べる方が庶民の等身大の情報であることは明らかである。

 

特別であることを望まない視聴者に大河ドラマは向かない。歴史の英雄は別の世界の人だから。それで真田丸も随所に現代人の目線それも普通の人が共感するセリフを入れているので、戦国時代の緊迫感がなく、とてもちぐはぐなドラマになった。

 

素人のクイズ番組が減っている。難しいクイズを勝ち抜いてハワイ旅行を射止める人はもう素人ではない。応援したくなる人ではない。タレントのそれも具志堅用高さんにように頑張っても答えられない人を応援したくなるのである。
最近は上から目線の人はトコトン嫌われる。舛添都知事が別荘通いに公用車を使っているのがニュースになっている。偉いのだから当たり前という考えが上から目線なのである。

 

偉い人にとってはふつうのことをやるのはとても難しい。自分が特別であることに慣れているから。NHKも公共放送だからこうすべきというのは思い上がりである。庶民感覚の番組を作れる人の意見をもっと取り入れるべきだ。

 

ことほどさようにふつうであることは望ましい。そして何がふつうかはネットをみていればわかるのである。