天声手帳

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熟成食品がブームになる

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NHK総合の日曜日8:25の番組「サキどり」で新鮮よりおいしい熟成食品の紹介をしていた。熟成肉はしばしば聞くが肉だけでなく、いろいろな食材に熟成の技術が応用され、やわらかくしたり、甘くしたり、うま味を引き出したりと高級食材化できるとあって、その手法が注目されている。

 

熟成肉ドライエージング手法で摂氏1~4℃、湿度60~80%の冷蔵庫に扇風機で風を送り、40日間熟成させる。肉が含む余計な水分を飛ばしタンパク質やミネラルを凝縮させる。乾燥が進むと特定の微生物が生成する酵素が凝縮されたタンパク質をうま味成分に変える。40日ならアミノ酸は5~6倍、2割柔らかくなるという。ただ熟成の過程でカビも発生するのでとりのぞく手間がかかる。

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熟成と発酵はどこが違うのか。熟成は内在している酵素の働きで成分の変化が起きたり、化学的な反応が起きたりする。反応はゆっくり時間をかけて起こり、美味しさに変わる物質が増えて行く。発酵は微生物バクテリアやカビの仲間、酵母などが働いて物質を化学的に変化させるもの。時間も熟成ほど長くはかけない。
ただし熟成と発酵を同時に行うワインのような例外もある。

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熟成に関してはハム、ソーセージ、ベーコン類は農林水産省によりJAS規格が決められているが、その他のものは規格がない。農林水産省ドライエージングによる熟成肉の製造方法など一定のルールを設ける検討をしていて、早ければ2016年度中にルールが決まる予定である。

 

雪国の新潟では雪室を使った熟成に取り組んでいる。雪室内はほぼ0℃、湿度100%を安定的に保つことができるので、食品の細胞破壊を抑え、乾燥からも守れる。にいがた雪室ブランド事業協同組合(越後雪室屋)では80を超す商品を認定していて、「氷温熟成こしひかり」や「雪室熟成肉 豚・和牛」「雪室珈琲」などの売れ筋商品を生み出している。

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三重県伊勢市にあるアサリの加工会社では氷温熟成と言って、収穫されたアサリをパッケージに入れた後、海水を凍らせた氷温ジェルアイスと呼ばれる細かい氷を詰めて全国各地に出荷し、輸送段階で熟成して、配送先に届けている。
氷温ジェルアイスは海水を特殊な技術により、直径0.1~0.5ミリ程度の細かい球状に凍らせたもので、温度を-1℃~-2℃の氷温域に保つことができるシャーベット状の氷である。シャーベット状の氷では通常の氷と比べて隙間が少ないので、融けにくく、24時間経過しても氷温域を保つことができる。
氷温域で冷やすと細胞内の酵素の働きにより熟成され、旨味成分がアップするのである。

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沖縄では海底に泡盛を沈めている。海中の波動で瓶がゆったりと揺れ、アルコールと水の分子がうまく合わさり、味がまろやかになるのである。鹿児島では音楽の振動を焼酎に伝える「音響振動熟成」という製法を行っている。継続的に細かな振動を与えられ続けた焼酎は、アルコールと水がなじむ速度が促され、熟成効果が向上して口当たりが
柔らかくなるという。

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熟成は家庭ではやらない方がいい。冷蔵庫内は雑菌が多いのとドアの開け閉めで温度が1~10℃くらいまで変化するため、うまく熟成できないのである。